2024.04.19
2024.04.25

歯の矯正にはどんな特徴あるの?

 

 

歯列矯正は、矯正治療ともいわれる歯科治療法で、矯正装置によって歯に一定の力をかけて歯並びや噛み合わせを整えていく方法です。
今回は歯列矯正には、どのような特徴あるのか、その種類やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

歯列矯正とは

歯列矯正とは、歯に矯正装置を取り付けて力をかけ、ゆっくりと歯の位置を移動させて、正常な歯並びや噛み合わせにする治療のことを指します。上下の顎の歯並びを整えることにより、見た目だけでなく、しっかり噛めるようになり、発音も改善されます。
ひと昔前は、比較的年齢の若い方が歯列を矯正するために治療していましたが、年齢問わず行うことができる治療法のため、現代では50代、60代の方でも口元の健康と若々しさのために治療を受ける方がいます。

歯列矯正は、歯並びを整える以外に、お口や身体の健康にとってもメリットのある治療法です。歯列矯正のメリットを次に挙げます。

見た目が良くなる

歯列矯正を希望する方の一番の目的であることが多いです。歯並びを整えることによって、歯の見た目がよくなるだけでなく、お顔全体の印象も改善されます。若々しくスマートな印象に見られることも多いでしょう。骨格が美しくなることで、横顔もきれいになります。
口元のコンプレックスから解消されて、精神的にも良い影響があると考えられます。

しっかり噛めるようになる

噛み合わせが整うことで、咀嚼能力が向上し、しっかりと食べ物を噛めるようになります。胃腸への負担が少なくなり、その後の人生においてもメリットが大きくなるでしょう。
また、どこかの歯に強い負担がかかることが無くなるため、歯や歯の周りの組織を傷めるリスクが減り、結果的に歯の寿命を長くすることにつながります。

虫歯や歯周病のリスクが減る

歯並びや噛み合わせが乱れていると、歯の周囲に汚れが溜まりやすく、清掃しにくい状態になるため、虫歯や歯周病になりやすくなります。
歯列矯正で歯並びを整えることで、お口の衛生状態を保ちやすくなり虫歯や歯周病のリスクが軽減されます。

発音が良くなる

特に「サ行」「タ行」「ラ行」を発音する時には、前歯を利用して発音するので、歯並びが悪いと発音が不明瞭になってしまうことがあります。
歯列矯正で歯並びが整うと発音が聞きやすくなり、人とのコミュニケーションにおいても良い影響が考えられます。

歯列矯正の種類

歯列矯正の代表的な治療方法には「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」があります。お口の状態や生活環境に合わせて、担当歯科医師と相談の上、矯正方法を決めます。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、詳しく解説します。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は「ブラケット矯正」ともいわれる矯正方法で、古くからある実績の多い矯正治療法です。歯の表面に「ブラケット」という装置をつけ、そこにワイヤーを通して力をかけて、歯並びを動かしていく方法です。
さまざまな症例に適応する確実な矯正治療方法だといえます。

歯の表面に矯正装置を装着するため、装置が目立ってしまうことが難点です。ただし、できるだけ装置を目立たなくする方法や「審美ブラケット」という目立ちにくいブラケットを使用する方法があります。
またワイヤー矯正の中でも、ブラケットを付ける部位によっていくつかの方法があります。

表側矯正

ブラケットとワイヤーを歯の表面に装着する一般的な方法です。適応症例も多く、さまざまな歯並び・噛み合わせの乱れに対応することができます。口元にボリュームが出てしまうことや装置が目立つことが難点です。
ただし、透明や白色のブラケットや白いワイヤーを使うなどして、出来るだけ目立たなくすることが可能です。

裏側矯正(舌側矯正)

装置を歯の裏側に装着する方法です。装置が目立たないというメリットがありますが、舌に装置が触れるため、次第に慣れてきますが、違和感が強く出やすい傾向にあります。
また、発音がしづらい場合や、歯磨きがやりにくいといった難点があります。
歯を動かしたい方向によっては、治療期間が長くなる傾向にあるので、治療計画の際によく相談が必要です。
表側矯正よりも費用が高くなる傾向にあります。

ハーフリンガル矯正

上顎は歯の裏側、下顎は歯の表側に矯正装置をつける方法です。見た目をよくする裏側矯正と、従来通りの表側矯正のよいところをとるイメージです。
上顎の装置が裏側につくため、裏側矯正のように装置が舌に触れる違和感がある場合や発音に影響が出る場合があります。ただし、両顎とも装置を裏側につける場合と比べると、緩和されます。
裏側矯正よりも多少費用が安くなり、治療期間も短くなります。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、透明のマウスピースを装着して歯を動かしていく矯正方法です。
インビザライン社で作製しているマウスピース矯正のシステムが最も一般的で、「インビザライン矯正」といわれることもあります。
矯正装置が透明なマウスピースのため、目立たず、周囲から気づかれにくいというメリットがあります。

マウスピース矯正で歯が動く仕組み

マウスピース矯正では、治療計画の段階でクリンチェックという専用のシミュレーションソフトを使い、歯並びが整うまでの様子を確認することができます。
そのシミュレーションソフトで出された結果を元に、歯並びが整うまでの数十枚のマウスピースが作製されます。
現在の自分の歯の状態から少しずつ動いたマウスピースを装着することによって、歯に適度な力をかけ、歯を動かしていく仕組みです。決められた期間が経過したら、次の段階のマウスピースに交換します。
矯正開始の段階で、歯並びが整った状態をイメージしやすいことが、メリットの一つだといえます。

ワイヤー矯正のメリットとデメリット

最初に紹介した古くからある矯正方法で実績のある矯正治療法「ワイヤー矯正」には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。具体的に解説します。

ワイヤー矯正のメリット

適応症例が多い

マウスピース矯正では、抜歯を必要とするような、歯の移動距離が大きい症例には不向きな点があります。一方でワイヤー矯正は、歯の移動距離が大きい難しい症例でも適応となることが多いです。歯の傾斜の大きな修正や口元を大きく変える治療も可能です。

取り外す必要がない

ワイヤー矯正装置は固定式になります。マウスピース矯正のように取り外しが可能な場合の紛失リスクやきちんと装着できるかなどの不安や心配がありません。

歯の移動速度が速い

マウスピース矯正と比較して、歯の移動速度が速く、歯並びが整うまでの時間は短くなります。

細かな調整が可能

歯にかかる力をワイヤーの調節により、細かく調整することが可能です。いろいろな方向に柔軟に歯の移動をさせることができ、特に上下の歯をしっかり噛ませるための移動は、マウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が得意としています。

ワイヤー矯正のデメリット

装置が目立つ

歯に直接装置を取り付けるため、矯正装置が目立ってしまうという難点があります。金属色が目立ってしまうことに抵抗がある人は、透明や白色の装置を選択することもできます。

装置が外れてしまうことがある

装置を直接、歯に接着しているので、硬いものを食べた時や粘着性のものを食べた時などに装置が外れてしまうことがあります。
外れてしまった場合は、取り付けなおすために受診する必要があります。

痛みや違和感がある

矯正治療自体、歯を動かすので、痛みや違和を感じる治療となりますが、ワイヤー矯正はマウスピース矯正と比べて、より感じやすい傾向にあります。
多くの場合は数日で徐々に慣れ、おさまりますが、痛み止めなどを服用して対処することもあります。

歯みがきがしにくい

矯正装置が固定式のため、汚れが溜まりやすく、歯磨きがしづらくなります。汚れが溜まったままになると、虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまうので、専用の歯ブラシや歯間ブラシ、タフトブラシ等を使い、丁寧に歯を磨く必要があります。
定期受診の際にクリーニングを受けることもおすすめです。

マウスピース矯正のメリットとデメリット

マウスピース矯正には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。歯列矯正方法を選択する時には、メリットとデメリットの両方を踏まえた上で選択することが大切です。

マウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正は、「矯正装置が目立たない」ことが大きなメリットです。そのほかのメリットも含めて具体的に解説します。

矯正装置が目立たない

装置が透明なため、目立ちません。今までワイヤー矯正で装置が目立つことを理由に矯正治療を躊躇していた方でも、躊躇なく矯正治療を始めることができます。

マウスピースの取り外しができる

マウスピースは取り外しができるので、食事の時や歯みがきの時は、装置を外すことができます。食事をおいしく食べることができ、歯の衛生状態を保ちやすいというメリットがあります。
ただし、マウスピース矯正は1日20時間〜22時間の装着を基本として計画されていますので、食事と歯みがきの時以外は外さないようにしましょう。

違和感や痛みが少ない

ワイヤー矯正と比較して、緩やかに力がかかっているので、違和感や痛みが少ないといわれています。ただしマウスピース矯正を始めたばかりの時や新しいマウスピースに交換したばかりの時は、違和や痛みを感じやすくなります。

通院頻度が比較的少ない

矯正治療を始めたら、1〜2ヶ月に1度、矯正装置の調整や経過観察のために通院する必要があります。マウスピース矯正の場合は、歯並びが整うまでのマウスピースは既に出来上がっているので装置の調整は必要なく、経過を観察するための通院が必要になります。ワイヤー矯正が1ヶ月に1度程度の通院に対して、マウスピース矯正は2ヶ月に1度程度になることが多いです。

マウスピース矯正のデメリット

装置が目立たない点や違和感の少なさがメリットに挙げられるマウスピース矯正ですが、デメリットもあります。適応しにくい症例や自己管理が必要になります。詳しく解説します。

適応しにくい症例がある

マウスピース矯正は、比較的歯の移動距離が少ない症例に適応し、重度の叢生や骨格が大きくずれている出っ歯、大幅に左右がずれている症例には適応しません。無理にマウスピース矯正で治そうとすると、費用や時間ばかりがかかってしまいます。そのような場合はワイヤー矯正では適応できることが多いので、ワイヤー矯正に切り替えていくのも良いでしょう。

正しく装着しないと歯が動かない

マウスピース矯正は、装置の装着時間、新しいマウスピースへの交換など、自己管理をしなくてはいけないことがあります。
装着時間は20〜22時間の想定で計画されているので、それよりも少なくならないよう注意しなくてはなりません。食事の時と歯みがきの時以外は、基本的に装着したままの状態になります。
また新しいマウスピースへの交換時期も決められているので、指示どおりに交換しましょう。万が一守れなかった場合には、早めに歯科医院に連絡をして、指示を仰ぐようにしましょう。

まとめ

歯列矯正には、主にワイヤー矯正とマウスピース矯正があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
歯列矯正を考えている場合には、両方の特徴をよく知った上で、歯科医師とよく相談の上、矯正方法を決めていくようにしましょう。