
マウスピース矯正を検討している人にとって、虫歯は心配要素の一つといえます。虫歯があっても歯列矯正できるのか、矯正中に虫歯になったらと考えると不安になりますよね。
そこで本記事ではマウスピース矯正を検討しているけれど、虫歯について不安に感じている人に向けて、虫歯があってもマウスピース矯正ができるのか、マウスピース矯正中に虫歯ができるとどうなるのか、矯正中の虫歯予防について詳しく解説していきます。
マウスピース矯正をスムーズに進めるためには、虫歯予防は必須です。是非ともこの記事を参考にしてください。
矯正は虫歯があってもできる?
マウスピース矯正は虫歯があってもできるのでしょうか?
マウスピース矯正を始める前に虫歯が見つかった場合は、基本的に虫歯治療してから歯列矯正を始めます。虫歯は放置すると進行して痛みを伴うリスクもあるため、マウスピース矯正を始める前に虫歯治療を終えることが大切です。
マウスピース矯正は、複数のマウスピースを作製して、1週間~10日または2週間ごとに新しく付け替えて歯を動かします。作製されたマウスピースは、元の歯並びのデータを基に理想の歯並びへの治療計画を立てて作られています。
もし歯列矯正中に虫歯が悪化すると、歯列矯正を中断して虫歯治療を行い、マウスピースの再製が必要になることもあります。
初期の虫歯とマウスピース矯正
初期の虫歯の場合は、そのままマウスピース矯正を始めることもあります。
虫歯には、進行度合いがあります。CO(シーオー)からC4(シーフォー)までの5段階に分けられ、数字が大きくなるほど重度の虫歯です。虫歯の初期段階であるCOは、歯の表面からカルシウムやリンが溶け始めた状態で、歯を削ることはほぼありません。適切な歯磨きとフッ素の使用などで修復が可能なため、様子を見ます。
COの状態であれば、ほとんどのケースでは虫歯治療をせずに歯列矯正を進めます。
歯列矯正が始まってからは、虫歯が進行しないようにしっかりとケアしなければいけません。
矯正中に虫歯ができる原因
マウスピース矯正を始めてから、虫歯ができてしまうことがあります。
主な原因は次の4つです。
- 唾液の作用を得られにくい
- 適切な歯磨きができていない
- 糖分を多く摂取している
- マウスピースを清掃できていない
一つずつ解説します。
1:唾液の作用を得られにくい
唾液には殺菌作用や汚れを洗い流してくれる大切な役割があります。マウスピース矯正は、基本的に1日20時間以上のマウスピース装着が必要です。
長時間マウスピースに歯が覆われている状態では、歯が唾液に触れにくいため、唾液の作用が得られにくく虫歯のリスクが高まります。
2:適切な歯磨きができていない
マウスピースを取り外して歯磨きできるため、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて虫歯のリスクが低い矯正方法です。しかし、適切な歯磨きができていなければ、食べかすや歯垢(プラーク)がついたままマウスピースを装着するため、歯とマウスピースの間で細菌が増殖し、虫歯菌が活発に活動します。
3:糖分を多く摂取している
口腔内の虫歯菌は糖分をエサにして歯を溶かす酸を作り出しています。
そのため、虫歯菌の大好物である糖分が多く含まれた飲食物を過剰に摂取していると、虫歯のリスクが高まります。
糖分の摂取を断つことはできないため、飲食した後の歯磨きが重要です。
4:マウスピースを清掃できていない
自分の歯をしっかり磨くことはもちろん大切ですが、装着するマウスピースの清掃も大切です。
マウスピースが不衛生な状態では細菌が繁殖してしまい、虫歯のきっかけを作ります。また汚れたままマウスピースを使用していると、着色や口臭の原因にもなります。
矯正中に虫歯ができるとどうなる?
マウスピース矯正中に虫歯が見つかった場合、虫歯の進行度によって対応が変わります。
状況によっては、歯列矯正を一時中断しなければいけません。それぞれ解説します。
矯正を中断しないケース
マウスピース矯正を中断する必要がないケースがあります。
マウスピース矯正を中断する可能性が低いのは、初期段階の虫歯です。削るほどの虫歯ではなく経過観察で問題ないケースや削る必要があってもごく少量の面積で歯の形状があまり変わらないケースです。
虫歯治療する場合はマウスピースを外して行い、治療が終了したら再度マウスピースを装着するため、歯列矯正に影響はほとんどありません。
矯正を中断し治療が必要なケース
マウスピース矯正中に虫歯が進行してしまった場合は、歯列矯正を中断して虫歯治療を優先します。大きな虫歯の場合、詰め物や被せ物が必要になり、歯の形状が大幅に変わってしまうケースがあります。その場合は、矯正用のマウスピースを作り直さなければならないため、費用の追加負担が必要なこともあります。
虫歯治療の期間とマウスピースを作り直している期間を含め、マウスピース矯正の治療計画が大幅に遅れます。虫歯は、重症化すると治療に費用も時間もかかります。「虫歯かな?」と気になることがあった場合は、すぐに歯科クリニックへ相談しましょう。
虫歯かわからない時はすぐに相談
虫歯の痛みかわからない時はすぐに相談しましょう。
虫歯ではなくマウスピース矯正の影響によって、歯や粘膜に痛みを感じることがあります。
マウスピースを初めて装着したときや新しいマウスピースに交換したときは、歯に力が加わるため痛むことがあります。また、歯を噛み合わせた刺激で痛みを感じることもあるでしょう。
マウスピースを固定するために、アタッチメントといった白い突起物を歯につけることがあります。マウスピースを外して飲食するときに、アタッチメントが粘膜にあたって痛むことやマウスピースの縁が粘膜に当たって痛むこともあります。
痛みの原因追及は自分ではできません。痛みが治らない場合は、放置せず早めに歯科クリニックへ相談してみましょう。
マウスピース矯正中の虫歯予防
マウスピース矯正中は、虫歯にならないように予防が大切です。マウスピース矯正は、矯正装置を取り外せるメリットがあります。そのメリットを最大限に生かし、虫歯になりにくい口腔内環境を整えましょう。
マウスピース矯正中に虫歯を防ぐ方法は、次の5つがポイントです。
- マウスピース装着前のケア
- 歯の汚れを残さない
- 食生活の見直し
- 水分補給をまめにする
- 定期的にメインテナンスを受ける
一つずつ説明します。
1:マウスピース装着前のケア
マウスピースを装着する前には、歯磨きとマウスピースの清掃がとても大切です。
マウスピースを装着しているときに摂取できるのは、水やぬるめの白湯です。それ以外の飲食物を摂取するときには、基本的にマウスピースを外さなければなりません。
マウスピースを外して飲食した後に再度装着する前は、必ず歯磨きをしましょう。唾液の作用が得られないからこそ、歯磨きを念入りに行うことで虫歯のリスクを低減します。
汚れたマウスピースをそのまま装着すると細菌が増殖します。マウスピースは水と歯ブラシで丁寧に汚れを洗い流し、着色や口臭を防ぐために1日1回マウスピース用の洗浄剤につけたり、専用の泡スプレーで洗ったりしましょう。
2:歯の汚れを残さない
歯磨きを行う際はデンタルフロスや歯間ブラシを使い、汚れを残さないようにしましょう。
歯が重なっている部分や歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目は、歯ブラシがあたりにくく汚れが残りやすい場所です。汚れが残りやすい場所は、虫歯のリスクが高いため、注意が必要です。
そもそも歯ブラシのみではお口の中の汚れを約6割しか落とせません。デンタルフロスや歯間ブラシを使用すると約8割以上の汚れを除去できます。
虫歯のリスクを低減するためには、虫歯の原因となるプラークの除去が必要です。歯ブラシと併用してデンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。
3:食生活の見直し
虫歯の原因になる糖分の過剰摂取に気をつけましょう。特に食事や間食の時間を決めずにダラダラ食べ続けると虫歯のリスクが高まります。お口の中が長時間、酸性に傾いてしまうためです。
飲食後にマウスピースを装着する前は、歯磨きが必要です。これを一手間に感じて、間食の回数が減ったといわれる患者さまもいます。3食しっかり食べて、間食の回数を減らせると虫歯のリスクも低減できるでしょう。
4:水分補給をまめにする
マウスピースを装着している間は、お口の中が乾燥しやすくなるため、唾液の働きが弱まってしまい細菌が増殖しやすくなるため、虫歯のリスクが高まります。こまめに水分補給してお口の中の乾燥を防ぎましょう。
糖分が含まれている飲み物ではなく、水やぬるめの白湯を飲むようにしましょう。
5:定期的にメインテナンスを受ける
日常的な歯磨きで汚れを除去しますが、歯ブラシがあたりにくい場所などにはプラークが溜まり歯石がつきます。プラークや歯石は細菌の温床になるため、放置すると虫歯のリスクが高まります。定期的にプロによるクリーニングを受けて徹底的にプラークや歯石を除去しましょう。
また、歯科クリニックでしか取り扱うことができない、高濃度のフッ素塗布を受けることも虫歯予防に効果があります。お口の中の状況によってクリーニングの頻度は異なるため、歯科医師や歯科衛生士に相談して、クリーニングとフッ素塗布を適切なタイミングで受けるようにしましょう。
まとめ
マウスピース矯正を始める前に虫歯が見つかった場合は、虫歯の進行度合いによりますが、基本的には虫歯治療してから歯列矯正を進めます。
マウスピース矯正している最中に虫歯になった場合は、虫歯の進行度合いによって、歯列矯正を中断せずにできるケースと中断が必要なケースがあります。
歯列矯正を計画通りに進めるためには、虫歯予防は欠かせません。マウスピース矯正前の虫歯や歯列矯正中の虫歯、虫歯予防についてなどお気軽にご相談ください。