2024.11.18
2024.07.11

矯正中の虫歯治療と予防方法

 

 

「虫歯があっても歯列矯正はできるの?」「歯列矯正を始めてから虫歯になるとどうなるの?」

こんな疑問を抱えていませんか?そもそも歯並びが悪いと歯磨きが難しく、虫歯について悩まれている人は少なくありません。

そこで本記事では、歯列矯正前の虫歯や歯列矯正中に虫歯になった場合、虫歯予防について、詳しく解説します。現在虫歯があるけれど歯列矯正を検討している人や歯列矯正を始めてからの虫歯に不安を感じている人は、この記事を参考に歯列矯正を検討してみてください。

基本的には虫歯を治療してから歯列矯正を始める

歯列矯正を始める前に虫歯が見つかった場合は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらも虫歯を治療してから歯列矯正をスタートします。万が一、歯列矯正中に虫歯が悪化してしまった場合は、虫歯治療を優先しなければならず、計画通りに歯列矯正が進まないためです。

虫歯の状況によっては、治療しないこともある

虫歯の進行状態によっては、虫歯治療をせずに様子を見ながら歯列矯正を始めることがあります。歯を削る必要がない初期の虫歯は、適切な歯磨きやフッ素の使用で改善が見られることがあるためです。このような状況であれば、歯列矯正をそのまま始められます。しかし、歯列矯正を始めてからは、虫歯が進行しないように注意が必要です。

自己判断はできないので、専門家への相談が大切

歯列矯正を検討している場合は、まず矯正歯科がある歯科クリニックで相談してみましょう。歯列矯正を進める上で抜歯が必要になることがありますが、虫歯が進行している歯が抜歯の対象になることもあります。虫歯治療が必要な歯があるのかなど、歯科医師の適切な指示が受けられます。

歯列矯正中にケアを怠ると虫歯になりやすい理由

歯列矯正中は、していないときと比べて、虫歯になりやすいといわれています。ワイヤー矯正とマウスピース矯正の虫歯のリスクについて解説します。

ワイヤー矯正による虫歯のリスク

ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーなどの矯正器具を歯に固定し、取り外すことはできません。固定された矯正器具は凹凸があるため、汚れが残りやすい環境を作ります。
矯正装置の周りは歯ブラシの毛先があたりにくいため、歯ブラシ以外の器具も使用し丁寧にケアしなくては磨き残しが多くなってしまい虫歯のリスクが高まります。

マウスピース矯正による虫歯のリスク

マウスピース矯正は矯正装置を取り外すことができるので、虫歯のリスクが低い矯正方法です。しかし虫歯のリスクがないわけではありません。

マウスピース矯正は、飲食時に装置を外し、飲食後は歯磨きをして口腔内をきれいにした後、再度マウスピースを装着します。歯磨きを怠ってしまった場合、食べかすなどの汚れが付着したままマウスピースを装着すると、マウスピースと歯の間で細菌が増殖して虫歯の原因になります。

本来、口腔内の汚れは唾液の作用によって洗い流されますが、すべての歯がマウスピースで覆われているため、唾液の働きの効果を得られません。適切な歯磨きをしなければ、虫歯のリスクが高まります。

歯列矯正中に虫歯になったときの対応とリスク

歯列矯正を始めてから虫歯になるケースと、歯列矯正によって歯が移動したことで隠れていた虫歯が見つかるケースがあります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、虫歯になったときの対応が異なります。

ワイヤー矯正をしているときに虫歯になった場合

ワイヤー矯正の場合、虫歯の進行度合いによっては矯正装置をつけた状態で虫歯治療が可能ですが、矯正装置が虫歯治療の妨げとなる場合は、取り外して虫歯治療を進めます。

虫歯治療を全て終えてから、再度ブラケットやワイヤーなどの矯正装置を装着します。矯正装置を外している間は、歯列矯正を中断しなければならないので、治療計画に大幅な遅れが生じます。

マウスピース矯正をしているときに虫歯になった場合

マウスピース矯正の場合、矯正装置の取り外しが可能なので、マウスピースを外して虫歯治療をします。虫歯が進行してしまい、虫歯治療によって歯の形状が大きく変わる場合や噛み合わせが変わってしまう場合は、マウスピースの再設計・作り直しが必要となることもあります。

万が一マウスピースの作り直しが必要な場合は、歯列矯正が中断してしまうため、ワイヤー矯正と同様、治療計画に遅れが生じます。

虫歯による痛みではないケースもある

虫歯ではなく歯列矯正によって痛みが生じることがあります。痛みを感じるのは、マウスピース矯正ではマウスピースを新しく交換したタイミングや、ワイヤー矯正ではワイヤーを調整した後などの力が加わるときです。歯列矯正による痛みは、一時的なものが多いので自然に治まります。

しかし痛みの感じ方は、人それぞれ異なるので、自己判断ではなく早めに歯科クリニックへ相談しましょう。

歯列矯正を中断すると「後戻り」してしまうリスクがある

歯列矯正によって目標としている場所に動かしている歯は、矯正装置をつけていないと、元の位置へ戻ろうと歯が動きます。これを後戻りといいます。虫歯治療が必要になり、歯列矯正を中断すると動かした歯が少し後戻りしてしまいます。

中断している期間と後戻りした所からの再スタートになるので、治療計画よりも大幅に遅れる可能性が高まります。

歯列矯正中にできる虫歯予防

歯列矯正をスムーズに進めるためには、虫歯予防の取り組みがとても大切です。虫歯の原因は細菌のかたまりである歯垢(プラーク)です。プラークの中の虫歯菌が、糖分を分解するときに作り出す酸によって歯を溶かします。虫歯を防ぐためには、徹底したプラークの除去が必要です。

次の5つのポイントを意識して、虫歯を防ぎましょう。

  1. 毎食後の歯磨き
  2. 歯ブラシ以外のデンタルケアグッズを併用する
  3. 食事習慣に気をつける
  4. 矯正装置も清潔に保つ
  5. 定期的にクリーニングを受ける

順番に説明します。

1:毎食後の歯磨き

虫歯の原因のプラークを除去するには、歯磨きがとても大切です。鏡を見ながら1本ずつ丁寧に歯磨きすると、磨き残しを減らせます。特にプラークが残りやすい下記の部分は意識して磨きましょう。

  • 歯と歯の間
  • 歯と歯ぐきの境目
  • 奥歯の噛み合わせ
  • 歯が重なってデコボコしているところ
  • 矯正装置をつけている部分(ワイヤー矯正)
  • アタッチメント部分(マウスピース矯正)

正しい歯磨きの方法を身につけるには、歯科クリニックで歯磨き指導を受けることをおすすめします。

2:歯ブラシ以外のデンタルケアグッズを併用する

歯が重なっている部分や歯と歯の間、矯正装置部分などは歯ブラシがあたりにくい場所です。よりきれいに汚れを除去するためには、タフトブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスを歯ブラシと併用しましょう。フッ素配合の歯磨き粉や洗口剤も虫歯予防に役立ちます。

特にワイヤー矯正をしている場合、ワイヤーと歯の間に汚れが残ります。歯ブラシで磨いたあとに、タフトブラシで1本ずつ丁寧に歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目を磨きます。最後に歯間ブラシで矯正装置の横やワイヤーの下を丁寧に磨きましょう。

3:食事習慣に気をつける

虫歯菌の大好物である糖分の過剰摂取には気をつけましょう。また、食事や間食の時間は決めることも、虫歯予防の一つです。

お口の中は中性に保たれていますが、飲食すると酸性に傾き歯の表面が溶けます。食後約30分後に唾液の作用によって、酸によって溶けた歯の表面は修復されます。
ダラダラ食べ続けると、口腔内は酸性の時間が長くなってしまうため、飲食の時間を決めることが虫歯リスクを低減します。

4:矯正装置も清潔に保つ

マウスピース矯正の場合、取り外したときにマウスピースの清掃が必要です。汚れたまま使い続けると虫歯や歯周病、口臭などのリスクが高まります。

マウスピースはやわらかい歯ブラシでやさしく磨いて汚れを落としましょう。また、マウスピース用のつけ置き洗浄剤や泡スプレーなどを使用すると着色や口臭の予防になります。

5:定期的にクリーニングを受ける

どんなに丁寧に歯を磨いていても、すべてのプラークを除去することは難しく、歯に歯石も付着します。歯石はプラークが石のように硬くかたまったものであり、表面はザラザラしているためプラークが集まりやすく、虫歯菌の温床です。

歯ブラシが届きにくい部分のプラークや歯石は、自分で取り除くことはできません。歯科クリニックのクリーニングによって虫歯の原因になるプラークや歯石を取り除きましょう。
クリーニングの頻度は人によって異なりますが、一般的には3ヶ月に一度が目安といわれています。しかし、歯並びの具合や虫歯のリスクが高いと判断された場合は、1ヶ月に一度のペースで受ける必要があります。

虫歯について歯列矯正のカウンセリングで相談する

矯正を検討している場合、はじめに歯科クリニックでカウンセリングをします。カウンセリングは、患者さまの不安や悩みを解消し、歯列矯正の詳しい情報を提供する大切な場です。

虫歯について不安なことは、カウンセリングで相談してみましょう。もし虫歯がある場合は、歯列矯正の方針が決まってから虫歯治療を進めることをおすすめします。気になることはなんでも質問してみましょう。

まとめ

歯列矯正を始める前に虫歯がある場合は、基本的には先に虫歯治療してから歯列矯正を開始します。歯列矯正中に虫歯になってしまった場合は、虫歯の状況によっては歯列矯正を一時的に中断して虫歯治療を優先することがあります。歯列矯正を予定通りに進めるためには、虫歯にならないよう予防が必要です。

お口の中の状況は人それぞれ異なるので、自分の歯の状態を詳しく知るために、まずは歯科クリニックで相談してみましょう。当院も歯列矯正のカウンセリングをしています。是非ともお気軽にお問い合わせください。