2024.12.28
2024.07.11

マウスピース矯正で出っ歯を治せるの?

 

 

出っ歯は、日本人に多い歯並びの一つであり、悩んでいる方は少なくありません。
そんな出っ歯を治す方法の一つがマウスピース矯正です。しかし、マウスピース矯正がすべての出っ歯に適応できるわけではありません。

そこで今回、マウスピース矯正を検討すると必ず直面する「マウスピース矯正で出っ歯を治せるのか?」こちらの疑問を抱いている方に向けて、マウスピース矯正と出っ歯について詳しく解説します。是非とも最後までご覧いただき、参考にしてください。

出っ歯の原因

出っ歯とは、上顎の前歯が下顎の前歯よりもわずかに前方に突き出している状態です。一般的に、かみ合わせたときに上の歯が3mm程前に出ていますが、5mm以上前に出ている場合、出っ歯の傾向があります。

出っ歯には遺伝的な要因と、生活習慣の影響によって出っ歯になってしまうケースがあります。それぞれ説明します。

遺伝が要因の出っ歯

上顎と下顎の骨格や歯の大きさなど遺伝的な影響があります。親が出っ歯である場合、子どもも出っ歯になる可能性はありますが、必ずしも遺伝するわけではありません。

生活習慣が原因で出っ歯になる

環境要因や生活習慣も出っ歯に影響を与えます。乳幼児期の習慣的な指しゃぶりや口呼吸は、歯や顎の正常な発育を妨げ、出っ歯を引き起こす原因になります。また、口腔内の癖が原因で出っ歯になることもあります。
舌を強く前歯に押し当てる癖、強いかみ締めや歯ぎしりなども影響します。歯並びに悪い影響を及ぼす癖は改善するように心がけましょう。

出っ歯をマウスピース矯正で治せるの?

マウスピース矯正は出っ歯を治す治療方法の一つです。しかし、自分の出っ歯がマウスピース矯正で治せるのかは、実際に歯科医師の診断がなければわかりません。

マウスピース矯正は、比較的軽度の出っ歯に適用され、歯並びや顎の状態によっては適用できないケースがあるためです。

マウスピース矯正が適用される出っ歯の状態

マウスピース矯正の適用は、歯科医師の診断が必要なので一概にはいえませんが、参考として一般的なマウスピース矯正が適用される出っ歯は次のような状態です。

  • 骨格に問題がない
  • 前歯の重なりが少ない
  • 前歯の突出が軽度
  • 前歯以外のかみ合わせに問題がない

マウスピース矯正が難しい出っ歯の状況

  • 骨格に問題がある
  • 前歯の突出が重度
  • スペースがなく、抜歯が必要

出っ歯は、前歯だけではなく上顎ごと前に突き出ている出っ歯があります。また、下顎が上顎よりも下がってしまうことが原因で出っ歯になっていることもあります。骨格の大きさや左右位置関係に大きなズレがある場合など、外科的手術が必要になるため、マウスピース矯正だけの治療は困難です。

マウスピース矯正は大きく歯を動かすことを得意としていないため、重度の出っ歯の場合は適用できないことがあります。また、スペース確保のために抜歯を伴う矯正の場合、歯を大きく動かすことが得意なワイヤー矯正が推奨されることもあります。

全体矯正と部分矯正

マウスピース矯正には、奥歯を含めた全体矯正と気になる部分だけを整える部分矯正があります。全体矯正の場合、かみ合わせの治療ができるので対応できる症例が多くなります。マウスピースの部分矯正では、治療が難しい出っ歯も奥歯を含めたマウスピースの全体矯正だと治療が可能なことがあります。

自分の歯が全体矯正と部分矯正のどちらが適しているのかは、自己判断できないため歯科医師の診断が必要です。

マウスピース矯正はメーカーによって適用範囲が異なる

マウスピース矯正には、国内外でさまざまなメーカーがあり、それぞれのメーカーによって、歯科矯正が可能な範囲が異なります。
軽度〜中程度の歯並びのみを対応しているメーカーや重度の歯並びも対応できるメーカーがあります。そのため、同じ出っ歯でもマウスピース矯正が対応できるブランドもあれば、対応できないブランドもあります。

歯科医院はそれぞれ採用しているメーカーが異なります。その点も考慮して、矯正相談してみることをおすすめします。 出っ歯をマウスピース矯正で治せるの?

マウスピース矯正で出っ歯を治す治療費用と期間

マウスピース矯正で出っ歯を治す場合、部分矯正と全体矯正によって金額や期間が異なります。

治療費用の目安

マウスピース矯正の費用は、それぞれのクリニックで異なりますが、一般的な目安として部分矯正が30万円〜70万円程、全体矯正が60万円〜100万円程といわれています。また、一般的にマウスピース矯正を含め、歯科矯正は自費診療のため保険診療適用外です。

治療にかかる明確な費用は、歯科医院で診断を受けるとわかります。具体的な内訳や支払い方法なども併せて確認するとよいでしょう。

治療期間の目安

マウスピース矯正で出っ歯を治す期間は、一般的な目安として部分矯正は6ヶ月〜1年程、全体矯正で1年〜3年程です。しかし、歯並びの状況によって期間はそれぞれ異なるので、歯科医院で矯正相談をした際に確認しましょう。

マウスピース矯正で横顔を改善できるのか?

出っ歯の方が多く悩まれている横顔。口元が全体的に前に出て見えることや、口が閉じづらいこともあります。マウスピース矯正で出っ歯を矯正すると、横顔の美しさが向上する可能性がありますが、その効果は個人によって異なります。

顔の形や輪郭は、個人の骨格や筋肉の構造にも影響されます。そのため、マウスピース矯正で歯並びを整えても、横顔の美しさが必ずしもすべての人にとって向上するとは限りません。特に顎の骨格に問題がある場合、矯正治療だけでなく外科的な処置が必要なこともあります。

マウスピース矯正で出っ歯を治す注意点

マウスピース矯正で出っ歯を治す場合、次の内容に注意しましょう。

  1. マウスピースの装着時間を守る
  2. 飲食の際は取り外す
  3. マウスピースを自己管理する
  4. リテーナーの使用

順番に説明します。

1:マウスピースの装着時間を守る

マウスピース矯正では、歯を動かすために1日20時間以上の装着が必要です。この装着時間を守らなければ、歯は計画通り動きません。治療前に提示される、矯正期間は最短の日数です。もし、装着時間を守れなかった場合、当初の計画より遅れてしまうことを認識しておきましょう。

2:飲食の際は取り外す

基本的に飲食するときは、マウスピースを取り外します。水と白湯を飲むときは、着用したままで問題ありませんが、それ以外の飲食物を摂取する際は取り外さなければいけません。また、再度マウスピースを着用するときは、口腔内を清潔にしてから装着します。

3:マウスピースを自己管理する

マウスピース矯正は、複数のマウスピースを作製し、指示されたタイミングで新しいマウスピースに交換します。複数のマウスピースの保管や新しいマウスピースに交換するなど、基本的にすべて自己管理です。また、マウスピースを清潔に保つために、適切な清掃も必要です。

4:リテーナーの使用

リテーナーは矯正治療後に歯の位置を保持するために装着する装置です。矯正治療によって動かした歯は不安定で、歯は元の位置に戻ろうとする働きがあるため、しっかり定着するまで、リテーナーを使用します。この期間を保定期間と呼び、個人差はありますが、矯正治療にかかった期間と同じくらいの保定期間が必要です。
リテーナーの着用は、マウスピース矯正だけではなく、ワイヤー矯正でも同じように使用されます。

出っ歯を放置するリスク

出っ歯を放置すると、単に審美的な問題だけでなく、さまざまな健康リスクや生活上の問題を引き起こす可能性があります。

歯周病のリスクの増加

出っ歯は歯周病のリスクが高まる可能性があります。正しくかみ合わない歯は歯磨きが難しく、歯周病の原因となる歯垢(プラーク)や歯石が蓄積しやすくなります。歯周病は歯を支える骨が、歯周病菌によって炎症や破壊を引き起こし徐々に骨を溶かしてしまう病気です。痛みがなく進行してしまい、気付いたときには歯がグラグラになってしまうことも。最悪の場合、歯が抜けてしまいます。

かみ合わせが合わない

出っ歯の場合、上下の歯が正常にかみ合わないため、咀嚼しにくいことや食事中の不快感につながることがあります。また、歯が正しくかみ合わないと、特定の歯に過剰な負担がかかり、歯の表面が削れたりするリスクもあります。

口腔内の問題だけではなく、出っ歯によるかみ合わせの不調が顎関節に負担をかけ、顎関節症を引き起こすことがあります。顎関節症は、顎の痛みや不快感、開閉の制限などの症状があります。

発音に問題が生じる

出っ歯が原因となり、舌と歯の間に摩擦音が生じることや、発音が不明瞭になることがあります。特に「さ行」などの前歯を使用する音の発音に影響が出やすい傾向にあります。

見た目が気になってしまう

出っ歯は正面だけではなく、横顔にも影響します。口元が気になってしまい、笑顔になることや誰かと話すことにも抵抗を感じてしまう人は少なくありません。出っ歯をコンプレックスに感じてしまい、精神的な負担になることもあります。

まとめ

マウスピース矯正は、出っ歯を治す方法の一つですが、適用できる症例が限られ、すべての症例に対応していません。自分の出っ歯をマウスピース矯正で治せるかは自己判断できず、歯科医師の診断が必要です。マウスピース矯正を検討している場合は、まず歯科医院で相談するのが近道といえるでしょう。自分の歯並びの状態や矯正方法、費用、期間なども聞けるので、具体的にイメージできるようになります。

また、自分がどのような悩みを解決したいのか、どのような歯並びになりたいのかなどの希望を、歯科医師へしっかり伝えましょう。矯正治療は、治療前の歯科医師との相談を通じて、治療のゴールをしっかりすり合わせ、自分も理解した上で治療を進めることが大切です。

マウスピース矯正について悩まれている方は、是非ともお気軽にご相談ください。