2024.04.11
2024.04.26

すきっ歯になる原因と治療方について

 

 

「すきっ歯」とは、歯と歯の間に隙間が空いている状態をいいます。
見た目が美しくないことがありますが、放置することに問題はあるのでしょうか?「すきっ歯」の原因や治療法について詳しく解説します。

すきっ歯とは

すきっ歯とは、虫歯などで穴があいた結果ではなく、自然な状態で歯と歯の間に隙間ができてしまった歯並びのことを指します。「空隙歯列(くうげきしれつ)」ともいわれます。
特に前歯の真ん中に隙間が生じている状態を「正中離開(せいちゅうりかい)」といいます。
自分で見た時の見た目や周りからの印象が気になるという人が多いです。
前歯の間から息が漏れてしまうことで、発音が気になるという場合もあるかもしれません。

すきっ歯の原因とは

すきっ歯の原因は、遺伝や異常により先天的に問題がある場合と、舌や歯ぎしりなどの癖、虫歯、歯周病など後天的な問題によるものがあります。
それぞれ解説します。

すきっ歯になる先天的原因とは

骨格や歯の大きさなどは両親からの遺伝による影響もあるため、歯並びの状態が似て、すきっ歯になる場合があります。またもともとの歯の大きさや粘膜の異常による場合もあります。

遺伝的に歯が小さい

遺伝的な影響で、顎の大きさに対して歯が小さい場合にすきっ歯になることがあります。
また歯の形が悪い場合もすきっ歯になりやすくなります。
乳歯は、永久歯が生えてくるスペースを確保するためにすきっ歯になることが多くあります。そのため、乳歯のすきっ歯は気にする必要がありません。

歯の本数が少ない

成人の歯は、生えていない人もいる親知らずを除き、上下合わせて28本あります。歯の本数が先天的に少ないと、すきっ歯になりやすくなります。また生えてくるはずの永久歯が生えてこられずに顎の中に埋まっている場合もスペースが空いてしまいすきっ歯になることがあります。
反対に歯の本数が通常より多い「過剰歯(かじょうし)」がある場合にもすきっ歯になることがあります。
過剰歯が、生えている前歯を押すことで隙間ができます。

上唇小帯の付着異常

上唇小帯とは、上唇の裏側にある筋のような形をした靭帯のことを指します。付着する位置や大きさには個人差があります。上唇小帯は、乳幼児の頃は大きく感じても次第に唇の根本近くまで下がってくることが多いのですが、前歯の根本近くまで伸びていると、前歯同士の間が空いてすきっ歯になってしまうことがあります。
歯並びに影響が出る前に切除する手術を受けることで、すきっ歯にを予防することもできます。

すきっ歯になる後天的原因とは

遺伝的な要因がなくても、舌や唇の癖、また歯周病や歯を抜いた影響によってすきっ歯になることがあります。

舌や唇の癖

通常時、舌は上の前歯の少し後ろあたりに舌先が軽くあたるような位置にあるのが正常な状態です。ところが、舌先を前歯の裏側に押し当てるような癖があると、歯に余計な負荷がかかりすきっ歯になる原因になります。また、下唇を噛む癖にも注意が必要です。
前歯が前方に押し出されるような形になり、前歯が前に出て、すきっ歯になってしまいます。
すきっ歯を治療する場合には、これらの癖をしっかりと治さないと再びすきっ歯になり、同じことの繰り返しになる可能性があります。
すきっ歯の治療と同時に、癖を治すようにしましょう。

歯周病

歯周病は、歯周病菌による感染症です。最初は歯ぐきの炎症や腫れなどの症状が起こります。
そして、重度にまで進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、歯はグラグラするようになります。
歯を支える骨が溶かされてグラグラとしてしまうと、すきっ歯になってしまいます。

歯周病の原因は、歯と歯ぐきの境目に繁殖する歯周病菌です。歯周病が進行するにつれて、歯と歯ぐきの間の溝は深くなり、歯周ポケットを形成し、さらに歯周病菌が繁殖し進行を早めます。
歯周病によって溶かされた歯槽骨は、元には戻りません。歯並びの治療よりも先に、歯周病を食い止める治療が必要になります。

歯ぎしり

歯ぎしりの癖がある場合には、歯に強い負荷がかかり、歯のぐらつきや歯と歯の間に隙間を生じてしまうことがあります。集中している時や寝ている間に歯ぎしりをする場合もあります。
無意識で歯ぎしりをしている場合もあるので、家族など周囲の人に確認をしてもらうと良いでしょう。
すきっ歯を防ぐためにも、歯ぎしり予防用のマウスピースを装着することも効果的です。
思い当たることがある場合には、歯科医院を受診するようにしましょう。
歯ぎしり防止用のマウスピースは保険診療でも作ることができます。

抜歯の影響

虫歯や歯周病、または外傷などで歯を抜いた場合、抜いた場所をそのままの状態にしておくとすきっ歯になってしまう可能性があります。
歯を抜いた後は、その部分を補うための治療が必要になります。橋渡しをするようなタイプの被せ物である「ブリッジ」を入れる方法、取り外し式の「義歯」を入れる方法、「インプラント」を入れる方法があります。
歯を抜くことになってしまった場合には、必ず抜いた後の治療をするようにしましょう。

また、歯列矯正をしていくなかで「抜歯」をすることがあります。歯を並べるスペースが無い場合にスペースを作るために抜歯を行います。ただし抜歯をした場所にうまく歯が移動できない場合には隙間ができてしまいます。
抜歯矯正を行う時には、計画の段階からよく相談して行うようにしましょう。
また矯正治療後にしっかりと保定装置を装着していないと、後戻りが起きてすきっ歯に戻ってしまうことがあります。

すきっ歯を放置するとどうなる?

大人の場合、すきっ歯は放置しても治りません。すきっ歯になった原因によっては、どんどんひどくなってしまうこともあります。すきっ歯の原因に思い当たる伏しがあれば、まずはその原因を取り除くことから始めましょう。
そして、すきっ歯を治療するのであれば、早めの治療がおすすめです。
すきっ歯には次のような問題が挙げられます。

  • 見た目が悪くなる
  • 前歯で食べ物を噛みきれなくなる
  • 発音する時に歯の隙間から息が漏れてしまう
  • 悪い噛み合わせの影響で顎関節症などを引き起こしてしまう

すきっ歯の治療法

すきっ歯の治療法は大きく分けて2つあります。1つ目は「歯列矯正」、2つ目は「セラミック矯正」で治す方法です。
「歯列矯正」と「セラミック矯正」は、両方「矯正」という言葉が入っていますが、全く違う治療方法です。
「歯列矯正」は、歯を移動させて歯並びを整えるのに対して、「セラミック矯正」は、歯に被せ物をして歯並びを整えて見せる方法になります。
すきっ歯を治す場合には、それぞれ次のような方法で治します。

歯列矯正で治す方法

歯列矯正とは、矯正装置により歯に力をかけて徐々に動かし、歯を移動させて歯並びを整える方法です。すきっ歯の治療にも有効です。
歯列矯正の方法は主に「ワイヤー矯正」「マウスピース矯正」があります。それぞれの方法について解説します。

ワイヤー矯正

歯にブラケットという装置を装着し、ワイヤーを通して力を加え、歯を動かしていく方法です。「ブラケット矯正」ともいいます。
昔からある矯正方法のため実績も多く、多くの症例に適応する矯正方法です。

歯の装置をつけるので、装置が目立つことに抵抗があるという方は、歯の裏側に装置をつける方法や白色や透明色の目立ちにくい装置をつける方法があります。
前歯の部分的なすきっ歯の矯正であれば、「部分矯正」という、前歯の一部分だけを矯正する方法が適応できるケースもあります。その場合は、治療にかかる費用が安くなり、治療期間も短くなります。

マウスピース矯正

マウスピースを装着して、歯を動かしていく方法です。
装置が透明なので目立たず、周囲に気づかれにくいというメリットがあります。
一定の期間ごとに次の段階のマウスピースに交換していくことで、少しずつ歯を動かしていきます。

ワイヤー矯正の場合と同様、すきっ歯の程度が軽く範囲が狭い場合には、部分矯正で済む場合があります。マウスピース矯正の場合は、単純にマウスピースの枚数が少なくて済むため、費用が安くなり、治療期間が短くなります。
ただし部分矯正かどうかの判断は、全体を細かく検査してからになります。前歯の一部分だけに乱れがあるように感じていても、実際には奥歯にもズレがある場合も多いからです。

セラミック矯正で治す方法

セラミックの被せ物を歯の隙間を埋めるような形に作製して、審美的にすきっ歯を改善する方法です。
セラミックの形で見た目を改善するので、歯を動かす必要がなく、治療は短期間で済みます。
ただし自分の歯を削らなくてはいけない点にリスクがあります。どんなに良い被せ物をしても、天然の歯に勝るものはありません。
自分の歯を削ってしまうことで、歯自体が脆くなり、将来的に歯の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
隙間が前歯の真ん中だけなど、一部分の場合には有効な治療法の一つだといえるでしょう。

ラミネートベニアで治す方法

セラミック矯正のように歯全体に被せるのではなく、歯の表面に付け爪のような形でチップを貼り付ける方法です。
隙間の大きさや噛み合わせの状態など、適応できる症例に限りがありますが、ラミネートベニアであれば、自分の歯を削る量が少なく済みます。

まとめ

すきっ歯には、先天的な原因と後天的な原因があります。
後天的な原因に改善できるところがあれば、まずは原因を取り除くことから始めましょう。
治療法には、歯列矯正で治す方法とセラミック矯正で治す方法があります。
すきっ歯が気になる方は、歯科医院で相談しましょう。
ご来院をお待ちしております。