2024.04.12
2024.05.08

歯列矯正とセラミック矯正の違いは?特徴を徹底解説

 

 

「歯列矯正」と「セラミック矯正」は、両方とも「矯正」という言葉がついていますが、全く異なる治療方法になります。
それぞれの特徴を知った上で、お口の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
今回は、歯列矯正とセラミック矯正の特徴について詳しく解説します。

歯列矯正とは

矯正装置を使い、歯に力をかけてゆっくりと動かし、歯並びを整え、正常な噛み合わせにする治療のことを指します。上下の歯並びが整うだけでなく、しっかりと物が噛めるようになり、発音も改善されます。
歯列矯正には、主に次の種類があります。

  • ワイヤー矯正
  • インビザライン矯正(マウスピース矯正)

それぞれについて詳しく解説します。

ワイヤー矯正

「ブラケット矯正」ともいわれる、昔から行われている最も一般的な矯正方法です。
歯の表面にブラケットという装置をつけ、そこにワイヤーを通して力をかけ、歯を動かしていきます。
歯の表面に装置をつけるため、装置が目立ってしまうという特徴があります。
できるだけ装置を目立たなくする方法として、裏側に装置を取り付ける「裏側(舌側)矯正」、上顎だけ裏側に装置を取り付ける「ハーフリンガル矯正」があります。
また、白色のブラケットやワイヤーを利用して、できるだけ目立ちにくくする方法もあります。
ワイヤー矯正は適応症例が多く、さまざまなケースに適応します。

インビザライン矯正

マウスピース矯正の一種でインビザライン社のものを指します。
透明のマウスピースを歯に装着して歯並びを整えていく方法です。装置が透明なので目立ちません。
矯正していることを周囲に知られることなく続けられます。
マウスピースは自分で取り外し可能なため、食事時と歯磨きの時は外します。
それ以外は装着したままにすることが基本となります。
装置を外して歯磨きができるので、ワイヤー矯正と比較すると、虫歯や歯周病のリスクが少なくなります。
多くの症例に利用できる矯正方法ですが、歯の移動距離や骨格に問題があるケースなどでは、ワイヤー矯正の方が良い場合もあります。

セラミック矯正とは

整える部分の歯を削り、セラミックの被せ物をすることにより、歯並び整えていく方法です。
「矯正」という言葉がついていますが、実際に歯を動かすわけではありません。矯正歯科ではなく、審美歯科治療の分野になります。
簡単に見た目の歯並びを治せることから「クイック矯正」といわれることもあります。
自分の歯をある程度削らなくてはいけないのが難点です。また、仕上がりの状態が歯科医師の技術やセンスに左右されます。

歯列矯正のメリットとデメリット

歯を動かして歯並びを整える歯列矯正には、どのような特徴あるのか、メリットとデメリットを解説します。

歯列矯正のメリット

歯列矯正は、歯並びが整って見た目が美しくなることが一番のメリットです。しかし、それだけではありません。
お口や全身の健康に対してもメリットがたくさんあります。
歯列矯正のメリットを具体的に挙げます。

口元がきれいになる

大きなメリットの一つが「口元がきれいになる」ことです。
正面から見た時の口元だけでなく、お口周辺の骨格も改善されるため正面や横から見た時の顔貌も美しくなります。
コンプレックスから解消されるため、精神的にも良い影響があるでしょう。

虫歯や歯周病になりにくくなる

歯並びに凸凹があると汚れが溜まり、虫歯や歯周病になりやすくなります。
その点、歯並びが整うと汚れが溜まりにくくなるため、口腔衛生状態を保ちやすく、虫歯菌や歯周病菌の繁殖を抑えることができます。

咀嚼能力が向上する

歯並びが整うと噛み合わせもよくなり、咀嚼能力が向上します。しっかり噛んで食べられるようになり、胃腸の負担が軽減します。
また、噛み合わせが正常になることで、どこかの歯に強い負荷がかかる心配がありません。
過剰な力が加わると、歯や歯の周りの組織の負担が大きくなり、将来的に歯の寿命を縮めることになります。

発音が良くなる

歯並びが乱れているときれいな発音ができないことがあります。例えば「サ行」「タ行」「ラ行」などは、発音に前歯が影響していため、悪い歯並びだとうまく発音ができないことがあります。発音が悪いとコンプレックスに感じることや人とのコミュニケーションにおいて悪い影響が出てしまう可能性があります。
歯列矯正は、発音を正常にし、コンプレックスを解消したり、コミュニケーションを円滑にしたりするメリットがあります。

歯列矯正のデメリット

どんな治療にもデメリットがあるように、歯列矯正にもデメリットがあります。
矯正装置をつけることにより、違和や痛みを感じることがあります。具体的なデメリットについて詳しく説明します。

治療に時間がかかる

歯列矯正は、力を加えて徐々に歯を動かしていく方法ですので、治療に時間がかかります。
治療の期間は、お口の状態によりますが、部分的な矯正であれば2ヶ月程度から、全顎的な矯正であれば1年〜2年半程度です。個人差もかなりあります。
歯が動いた後は、「保定期間」といって、歯の位置を固定させるための期間が必要になります。
歯を動かすのに要した期間と同じくらいの期間、保定装置を装着する必要があります。

装置に違和を感じることがある

特にワイヤー矯正では、矯正装置を装着している時に違和を感じることがあります。
唇や頬や舌にワイヤーが触れたり擦れたりするなどの違和感がありますが、数日で徐々に慣れます。
また、調整直後の数日間は、違和を感じることがあります。
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正よりも違和感が少ないですが、新しいマウスピースを装着した直後は、違和を感じやすくなります。

痛みが出ることがある

歯列矯正は、歯に力を加えて、歯を移動させるため、調整直後やマウスピース交換直後は痛みが出ることがあります。多くは数日で痛みが治まります。

自費治療になる

矯正治療は、保険の適用外診療のため、自費診療です。費用は高額になることが多く、全顎矯正の場合の相場は、70万円〜130万円程度になります。
ただし、お口の状態・歯並びによって、治療期間なども異なるため、費用には幅があります。

治療期間中は虫歯や歯周病のリスクが高くなる

特にワイヤー矯正の場合は、歯に装置を装着したままのため、隙間などに汚れが溜まりやすくなります。
そのため、矯正治療期間中は、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、丁寧な歯みがきが必要になります。
矯正治療後は、歯並びが乱れた状態よりも格段に虫歯や歯周病のリスクが低減しますので、治療中は頑張って丁寧に清掃をしていきましょう。

計画通りに治療が進まないことがある

成長発育や歯の動き方、舌や唇などの悪い癖、予期せぬアクシデントなどにより計画通りに治療が進まないことがあります。マウスピース矯正の場合は、マウスピースの装着時間や交換時期が守られないと計画通りに治療が進まなくなります。

セラミック矯正のメリットとデメリット

セラミックの被せ物により見た目の歯並びを整えるセラミック矯正には、どのような特徴があるのでしょうか、メリットとデメリットを説明します。

セラミック矯正のメリット

セラミック矯正は「クイック矯正」ともいわれるように、治療期間が短く、美しい見た目を手に入れることができる方法です。メリットを具体的に挙げると次のようになります。

短時間で治療ができる

歯列矯正と違い、短時間で治療を行うことができます。
対象となる歯を削って型を取り、出来上がった被せ物を被せるだけです。
人前に出る仕事の前や結婚式があるなど、急いで歯並びを整えたい場合に向いています。

矯正装置をつけなくて良い

矯正装置をつけなくて良いので、矯正中の見た目を気にする必要がありません。
また、装置による歯の痛みや違和感もありません。
ただし、自分の歯を削らなくてはならないので、場合によっては麻酔をして治療しますが、歯を削ることによる痛みを感じることはあるでしょう。

費用を抑えられる

セラミック矯正も歯列矯正と同様に自費診療になるため、高額になりますが、比較的費用を抑えられる傾向にあります。
セラミック矯正では、セラミックの被せ物1本ごとに費用がかかります。
セラミックの種類にもよりますが、1本あたり10万円〜20万円程度が相場になります。
前歯数本だけの場合などは、歯列矯正よりも費用が抑えられる傾向にあります。

セラミック矯正のデメリット

セラミック矯正は、自分の歯を削らなくてはいけないのが最大のデメリットです。デメリットについて詳しく説明します。

自分の歯を削らなくてはならない

どんなに良い被せ物をしても自分の歯よりも優れたものはありませんが、セラミック矯正をする場合には、自分の歯を削る必要があります。セラミックを被せるために必要な厚み分だけでなく、歯並びを整えるのに必要な部分も削る必要があります。
場合によっては神経近くまで削ることになるので、歯の神経を取る治療が必要な場合があります。
歯の神経をとると、歯は脆くなります。自分の歯を削ることで結果的に自分の歯の寿命が短くなってしまうことがリスクとして考えられます。

虫歯や歯周病のリスクが増える

セラミックの被せ物は精密に作製されますが、自分の歯と比較すると、根本に汚れが溜まりやすくなります。
そのため、その部分から虫歯になってしまう可能性や歯周病になってしまうリスクが増えます。

被せ物には寿命がある

セラミックの被せ物は、しっかりとケアを行えば10年〜20年、またそれ以上使い続けることができます。
しかし、人工物なので、急な衝撃で割れてしまったり破損してしまったりするリスクがあります。
歯科医院によって保証期間などを設けている場合もありますが、保証後に壊れてしまった場合は、作り直す必要があり再度同様の費用がかかることになります。

まとめ

歯列矯正とセラミック矯正は、「矯正」という言葉がついていますが、全く別の治療方法になります。
歯列矯正は、歯にゆっくり力をかけて歯の位置を動かして、歯並びや噛み合わせを整えていく治療法ですが、セラミック矯正は被せ物によって歯をきれいに見せる治療法です。
それぞれにメリットとデメリットがありますので、自分に合う方法を選択するようにしましょう。